最近、英語を勉強しようと思ったが、どうしても中国語をやってしまう。
碰(ポン)吃(チー)!自摸(ツモ)!
嘘だ。雀魂とかいう麻雀ゲームをやっているだけだ。
で、その中にはゲームによくある実績が設定されている。
図の1番上は1位を5連続で取る、一番下は2位以上を10連続で取るという実績だ。
4人麻雀なので、1~4位が25%ずつ均等に出るとすれば
①は勝率1/4で5連勝
②は勝率1/2で10連勝
ということになる。
達成できる確率を計算するのは単純で、
①は1/4の5乗、②は1/2の10乗でいずれも1/1024の確率となる。
しかし、必要な試行回数の期待値となると単純な話ではない。
成功確率が1/1024だから逆数の1024回で良いのではと思った方は私レベルのアホである。
4位以上(つまり100%)を5連続でとれる確率は当然1であるが、必要な試行回数を考えると、逆数の1ではなく5回。
センター数学レベルだと思っていたのだが、そう簡単ではないようだ(確率の計算はセンターレベルにもならない)。
まず単純な例で、あいこを考えないじゃんけん(勝率1/2)で3連勝するのに必要な試行回数の期待値nを考える。
勝ちを○、負けを×と表記する。
唐突になるが最初の3回については
○○○
○○×
○×○
○××
×○○
×○×
××○
×××
の8通りとなる。それぞれ1/8の確率で発生する。これの続きで、試行回数が何回必要か考える。
(1)3連勝した場合(○○○の1通り、確率1/8)
3連勝したので終了し、試行回数ははじめの3回だけとなる。
(2)2連勝して負けた場合(○○×の1通り、確率1/8)
3回めに負けたため、また1からやり直しとなる。ここから必要な試行回数は定義から、n回となる(!)。はじめの3回と合わせて、n+3回。
(3)1回勝って負けた場合(○×○、○××の2通り、確率1/4)
2回めに負けたため、ここからやり直しとなる。同様にn回必要になってくるが、消費した分は2回で済んでいるため、n+2回。
(4)1回めに負けた場合(残りの4通り、確率1/2)
1回めに負けたため、ここからn回。合計はn+1回。
さて、(1)~(4)について、確率と試行回数が求まったので、期待値が求められる。
3×1/8 + (n+3)×1/8 + (n+2)×1/4 + (n+1)×1/2
計算すると、n × 7/8 + 7/4 となる。ところが、この試行回数の期待値はnそのものである。
n × 7/8 + 7/4 = n
これを解くと、n = 14 と求められる。
なんだか騙された気分がする。nについてきちんと向き合った気がしない。
妙に既視感があると思ったが、
【応用】不定積分の部分積分(もとの積分が現れる) | なかけんの数学ノート
【数III】積分すると同じ形になる 式をまるごと文字に置きかえ | mm参考書
こいつらであった。数学Ⅲでやる、部分積分を使うと元の形が現れるタイプ。
さて頑張って一般化しよう。
勝率pでq連勝するのに必要な試行回数をnとする。
はじめのq回について場合分けする。
(1)q連勝する場合 確率はp^q、試行回数はq回
(2)はじめ(k-1)連勝し、その次に負ける場合(1≦k≦q)
確率は p^(k-1) × (1-p)
試行回数は n+k 回
さて、(1)と(2)をあわせた期待値は
q × p^q + Σ { (n+k) × p^(k-1) × (1-p) }
となり、これを計算するのだが、
nに関する項については、(1)はnなし、(2)はすべてnがかかるので (1 - p^q) n とまとめられる。
第2項の定数項は(1-p)を外に出せばおなじみの形。p倍して1個ずらして等比級数で云々。
第1項と合わせた定数項は(1-p^q)/(1-p)という等比級数の式そのまま(私はよくわからなかったが、当たり前なのかもしれない)。
後はこれがnと等しいことから、nの一次方程式を解くと、n={(1/p)^q - 1}/(1-p)と求められる。
もともと求めたかった、
①は勝率1/4で5連勝 (p = 1/4 、q = 5)
②は勝率1/2で10連勝(p = 1/2 、q = 10)
に立ち返ると
①:(4^5 - 1)×4/3 = 1364回
②:(2^10 - 1)×2 =2046回
とわかる。
なお、三人麻雀の1位5連続は363回、2位以上10連続は約170回となる。
こうしてみると連勝関連の実績の中では四人麻雀の2位以上10連続が圧倒的に難しい。
トップ率が25%ではない人もpに代入すれば計算ができる。
大学入試で出すと、深入りして死者が発生する悪問になりそうだ。