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国家公務員(総合職)になれなかった話とか全然関係ない話とか。

国家公務員試験(総合職)の得点計算方法に関して

国家公務員試験の1次試験、2次試験とあるが、合格者やその順位を決めるための、得点計算方法は結構ややこしい。

国が公式にやることなので、一応、公開されている。

簡単のため、大卒程度のみ紹介する。

人事院の採用ナビのページ

総合職試験(大卒程度試験)|国家公務員試験採用情報NAVI

の下の方に、「合格者の決定方法」というpdfファイルがある。

http://www.jinji.go.jp/saiyo/siken/sougousyoku/daisotsuteido_sougou/kettei13.pdf

以降、このファイルの中身に軽く解説を加える。

 

人事院としては、各試験の素点(実際の正解数など)をそのまま足すと、難易度の違いなどの影響が出て良くないと考えているのだろう。

そこで使ったのが以下の式。上のファイルから引用。

f:id:non-bureaucrat:20170308214215p:plain

この式の意味がわからなくても、「偏差値」ぐらいは使ったことがあるだろう。上の式は偏差値を少し弄ったものである。

 

偏差値について軽く解説。

まず一般に試験を行ったとき、受験者の平均点(上の式のM)と、点数のばらつき方(上の式のσ)が重要なデータになる。

例えば満点を取ったとしよう。

平均点が同じ試験でも、ばらつきが大きい場合、満点を取る人は結構いる。そのため傑出度は低い。逆にばらつきが小さいのに満点を取った時、傑出度は高い。

この傑出度を表すのが偏差値である。

偏差値の出し方は、10 ×(自分の点数 - 平均点)/(標準偏差)である。この標準偏差がばらつきの大きさを表すパラメータである。

直感的な理解では、平均点が70点で、標準偏差が10点の時、

  • 70点(ちょうど平均点)の人は偏差値50
  • 80点(平均点+標準偏差)の人は偏差値60
  • 90点(平均点+2×標準偏差)の人は偏差値70
  • 65点(平均点ー0.5×標準偏差)の人は偏差値45

である。

ちなみに統計学によれば、理想的な分布の場合、偏差値60で上位16%、偏差値70で上位2.3%である。

 

ここで人事院の式に戻る。

得点の式のカッコ内を見ると、偏差値の式の10のかわりに15を使っている。理由は全然わからない。強いてあげるなら、得点のばらつきを増やすことで、同点者を減らすというものか?それなら、全体の得点を1.5倍にするだけでも良いと思うのだが。

ともかく、人事院では差分を1.5倍にする。つまり、偏差値60なら、偏差値50(平均)からの差を1.5倍して、得点計算では65として計算する。つまり、平均点の人の65/50 = 1.3倍の得点が入る。

偏差値70なら、80として計算され1.6倍の得点。偏差値40なら、35として計算され0.7倍の得点が入る。

なお、人物試験(面接)については、ABCDEの5段階評価を行い、理想的な分布を仮定することで、偏差値を計算して、標準点を求める。

すなわち、もしAを取った人が、全体の4.6%ぐらいならば、その集団の平均は上位2.3%ぐらいになるはずなので、Aを取った人は偏差値70ぐらいになるはず。

 

そして、配点比率に関して。

  • 基礎能力試験(教養)2/15
  • 専門(多肢選択式=1次試験)3/15
  • 専門(記述式=2次試験)5/15
  • 政策論文 2/15
  • 人物試験 3/15 

となっている。

上の式を見ると、すべての試験で平均点を取った(X=M)時、合計500点となる。

つまり、配点比率2/15の教養試験で平均点を取れば 66.66→66点(切り捨てられる)。この試験で偏差値60、つまり「得点計算用の偏差値」が65のときは、66.66×65/50で86点となる。

ここで一つサイトを紹介する。

国家公務員試験得点計算室−ボーダー予想!−

過去の試験における、平均点・標準偏差のデータがのっているだけでなく、素点を標準点に変換してくれる。いろいろ数字を打ってみて、どのぐらい取れれば合格なのか、計算してみると良いだろう。

 

さて、一次試験は教養試験(配点比率2/15)と専門試験(配点比率3/15)から構成され、その合計点が一定以上なら通過できる。合格ラインをどこに置くのかは分からないが。

よく匿名掲示板で、傾斜配点だからといって、教養試験の素点+1.5×専門試験の素点を計算しているが、実際に用いられる得点は上の式で計算される。この傾斜配点は、ばらつきの大きさが同じ時のみに適用される。

すなわち人事院式の計算では、まず平均点を取ることによって、教養試験では66点、専門試験では100点が入る。それに加えて、

  • 教養試験で平均点に加え、標準偏差1個分高い点数を取れば、+20点
  • 専門試験で平均点に加え、標準偏差1個分高い点数を取れば、+30点

となるわけだ。

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ここに法律区分における1次試験のデータをまとめてみた。

データは得点計算室のもの(H24-27)、人事院のもの(H28)

http://www.jinji.go.jp/saiyo/siken/heikin/shikenc2_heikin.pdf(pdf)

を利用。

最下段から分かる通り、専門の素点は1.5倍ではなく、1.2倍程度とするのが良いだろう。なお、専門を1.2倍して教養に足した点数は、相対比較のみに利用できて、標準点がどのぐらいあるのかという指標にはならない。

 

まとめ

基本的には、各試験のばらつきの影響を統一するため、偏差値のようなものを用いている。

法律区分の1次試験では、専門の素点を1.5倍ではなく、1.2倍して教養の素点と足すと良い比較。

 

 

追記

自分のときは教養試験だけでももう少し参考書の種類があった気がするが、今はこれ一択なんですかね。

そして相変わらず理系の総合職に特化したものはなさそう。公務員試験一般の問題集と人事院から取り寄せる過去問で対策となるのだろうか。